生活保護を申請したら扶養照会は必ず行われる条件だけど例外もある
生活保護を申請して受給できるか、を決定する時に、扶養できる人がいればしてもらう、という条件があります。
そこで、生活保護の申請した後に役所から「扶養照会」がされることになります。
でも、
- 体を壊して仕事ができなくなった
- お金がないことを知られたくない
困窮していることって知られたくないので、イヤですよね。
なんかまっとうな人生から外れた姿を見られているような気持ちにもなります。
とくに、家族とは音信不通だったりしたら、連絡を取って欲しくないものです。
原則としては、生活保護を受ける条件として、扶養照会はされるのですが、例外的にされない場合もあります。
ここでは、生活保護を申請して受けるための「扶養照会」について詳しく紹介します。
扶養照会は生活保護を受けるために原則として必ずされるのが条件です
手持ちのお金も残り少なくなって、生活保護の申請に行ったら、「家族に養ってもらえるか扶養照会する」と言われます。
生活保護の申請に行ったら、家族に扶養照会すると言われたけど、「家族に連絡して欲しくない」という思いがよぎりますよね。
生活保護を受けることができるか、できないかを決めるときに、扶養義務の履行が優先されます。
扶養する義務のある親族がいたら、生活保護を受ける前に、扶養してもらえるなら扶養してもらうことが条件になっているからです。
そこで、扶養義務者で誰か援助できる人がいれば、その人に援助の可否を確認することになります。
具体的にどうなるか、と言えば、扶養義務者に「扶養照会」と言われる文書を出して、返信を受け取ることになります。
親族に知られたくない気持ちがあると、扶養照会がイヤなら、生活保護を受けられないってことですか?
結果的に、お金がなくても生活保護を受けられない人もいるんですよ。
生活保護を申請する場合、この扶養照会がされるのが嫌で、条件があてはまっていても申請を断念する気持ちになってしまうんですよね。
でも、役所の方も、最大限努力しても生活保護の申請をしなければいけない、という状態を確認する必要があるので、扶養照会の手続きが必要になってきます。
扶養照会がされない場合
扶養する能力があるかどうかの調査は、
扶養義務者(扶養しなければいけない人)が
「要保護者の生活歴等から特別な事情があって、明らかに扶養できない」場合には、
「個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できないものとして取り扱って差し支えない」とされています。
扶養できる親族がいるけど、事情があるなら扶養照会しなくていいよ、ということです。
例えば、夫の暴力が原因で家を出て生活保護の申請を行う場合などですね。
DVの場合は、夫への扶養照会は行わなくていいことが、国の通知によって決まっていて、個別の対応になります。
険悪な関係になっている虐待を加えた親族に扶養照会が行われたら「扶養する」という名目のもと、強制的に同居させられて、また虐待を受けることになるかもしれませんよね。
どうしても扶養照会をされたくないのであれば、一度は福祉事務所にその理由をはっきり伝えて、こべうの対応を検討してもらう必要があります。
黙っているのが一番いけないことです。
生活保護の扶養義務者の範囲
親子、兄弟など民法に規定された扶養義務者などからの援助が受けらえっる場合には、その援助を優先します。
扶養に関しては、民法の規定に従う、とされています。
ということは、6親等以内の親族まで義務を負うことになります。
ただ、生活保護の運用では、3親等までを扶養義務者としています。
生活保護を受けるための条件として、生活保護を申請した人の親族で調べられる範囲、と言ってもいいですね。
扶養義務者でも扶養できなければしなくてもいい
扶養照会は、扶養義務者との関係から、扶養が期待できる人に対して行われるものとされています。
でも、活保護者を扶養するのに、生活に余裕がないのに援助を強制することはありません。
例えば
- 年金だけで生活している人
- 専業主婦で自分の収入がない人
- 10年以上交流がない人
など、扶養が見込めないことが明らかな場合は、扶養照会を省略することになっています。
第三者として、扶養に関して決定権限を持つのは裁判所だけで、福祉事務所は扶養を受けられるかどうかを調査するだけです。
2014年7月施行の改正生活保護法では、福祉事務所が「77条1項の規定による費用の徴収を行う概念性が高いと認めた」扶養義務者に対しては、生活保護の申請があったことを通知をすることになりました。
これが、扶養照会です。
扶養照会をして、扶養できないなら、扶養をしない理由について報告を求めることができる、とも規定が設定されました。
同時に施行された生活保護法施行規則などによると、福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うことになる概念性が高いと判断するなど、明らかに扶養することが可能と思われるにも関わらず、扶養を履行していないと認められる限定的な場合に限る、との取り扱いがされています。
○厚生労働省が出している通知
生活保護法の一部を改正する法律等の施行について(通知)